メンテはじめ

電子ピアノと違い、アコースティックの本物のピアノは、木や鉄骨や羊毛など、天然素材でできています。鉄でできたピアノの弦は何トンもの張力でひっぱられ、音の高低を合わせています。その弦を、木で出来たスティックの先に羊毛のフェルトを固め巻き上げたハンマーでたたき、発音する仕組みになっています。弦は自然にゆるんで音が狂ってきますが、天然素材は外気の影響を受けやすく、さらに音の狂いを生じやすくしています。そこで必要になるのが、メンテナンスの基本のキ、調律。

当教室のピアノのメンテナンスをすべてお任せしている、うたまくら.の荒木欣一さん、登場~。

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早速チェック~。

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「レットオフがなくなってますね。」

荒木さんのレットオフ調整は1mmというキワキワのところを責めているそうで(普通は2mm)、もともと厳しめの設定だそうです。1mmの差なんて、見ても違いがわかりません! スゴすぎる! けれど私たち弾き手は、それをある感覚で捉えています。すなわち、「タッチが重い、軽い」などの弾き心地が、それです。

一言に「タッチの重さ」といっても、それに関する原因や現象はさまざまに考えられます。先日、荒木さん主催のピアノのセミナーでご一緒した方が送ってくださったセミナーのレポートを拝読して本当にその項目の多さに驚きました。ピアノの部品の動きと効果を表にしてくださったのです。理路整然とまとめられたものを読み、あらためて実感です。調律師さんは弾き手が語る言葉を頼りに、これだけたくさんの可能性をふまえ、対処方法を考えておられるのですね。あらためてすごい。

そうそう、このレポートを送ってくださった方、う様もまたスゴイ方なのです。経歴も素晴らしいとってもエライお方なので、お友だちと呼ばせていただくのは憚られるのですが…ピアノが大好き! うたまくら.と荒木さんが大好き!! で、電子ピアノユーザーにもかかわらず、あっという間にピアノ構造論に習熟なさってしまいました。私など、もうすでに足元にも及びません。くやしーい、毎日弾いてるのにぃっ! 頭のデキが違います、はい。

う様と私のピアノメンテの師匠、荒木先生は、絶えず楽しいお話しを交えつつ、サクサクと作業を進めます。

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グランドピアノのアクション、チェック。

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アップライトも調律~。

私専用のアップライト、愛しのアトラスちゃんは、1年以上調律していなかったので音が下がっていました。仕上げに荒木さんは試し弾きを促してくださいます。あっ、弾きやすい。軽くなったような気がしますが…気のせいですよね。

「気のせいですね(苦笑)。基本的には音を合わせる作業だけしましたから。」ですよねー。

人の感覚というのはおそろしいもので、鍵盤の重さだけではなく、音の印象からもタッチ(重い軽い、弾き心地)を語ってしまうことがあるのです。調律の狂いがなくなり余計な音がしなくなったので「弾きやすい=タッチが軽い」と表現してしまったのでしょう。

こんな風に、ピアノという楽器について深く勉強させてもらうようになったのは、荒木さんに出会ってからです。思えば3年半ほど前、湿気で弱っていたグランドピアノC5を救ってもらってから。その時にお話しになっていた「啓蒙」ということばは今でも忘れられません。その言葉の通り、ピアノを取り巻く環境の向上のため、ピアノに関する知識の普及の活動を続けておられます。

今年は大きなメンテナンスも企んでおります! 今年も教室としてはMAXお世話になる方、確定でございます。濃ゆいお付き合い、引き続きよろしくお願いします~師匠!

荒木欣一さんのブログは、コチラ
うたまくら.さんのHPは、コチラ

メンテはじめ” に対して2件のコメントがあります。

  1. より:

    そんなそんな…恐縮です。

    電子ピアノに、タッチの重さ擬似的に変える機能があります。タッチカーブ。
    鍵盤をどれだけ強く押したとき(どれだけ早く押し下げたとき)に、どれだけの大きさで鳴らすかを微妙に変ることで、鍵盤を重く感じさせたり、軽く感じさせたり…。
    無論、分銅で量っても鍵盤の重さは変わりません(笑)。
    なので、音の大きさとか響きがタッチとして感じているのですよね。人間の感性って不思議ですね。

  2. なおこ より:

    >う様

    いえいえ、本当に素晴らしいです。荒木さんと大絶賛してましたよ~くしゃみ出ませんでした?

    なるほど、音量とタイミングを変えると印象が変わりますね、きっと。技術の進歩ってすごいな~。勉強になります! ありがとうございます。

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